元祖・都市型フェスの仕掛け人「SYNCHRONICITY」麻生潤が語る、都市でフェスを続ける理由

TALK SESSION @SYNCHRONICITY
-麻生さんは何に影響をされて、フェスを作っているのですか?

ちょっと抽象的になるんですが、僕がやりたいことは、「都市のエモーショナルな部分を形にしたい」ということなんです。そのエモーショナルな部分っていうのは若い人が作り上げていくところが大きいけど、若い人たちだけではできないものもある。都市の中にある、世代という縦軸、ジャンルという横軸を全部融合させて、ひとつの形として表現しているのが、「SYNCHRONICITY」なんです。なので、都市や社会性、今の時代の持つ温度とかそんな抽象的なものに影響されているんだと思いますね。

-そもそも「SYNCHRONICITY」はフェスという意識はあるのですか?

「SYNCHRONICITY」が大きくなっていって、はじめはFestival Lifeか、どこかのメディアが都市型フェスって呼びはじめたんです。これはおもしろい言葉だなって思って、自ら「都市型フェス」というワードを使うようになりました。でも自分にとっては、フェスっていうよりお祭りって感じが近いかな。海外のジャズフェスみたいな感じで、地域と一緒になってそこに音楽があるっていうのが理想なんです。

-何か参考にしているフェスやイベントなどあったりするのですか?

「SYNCHRONICITY」で特に参考にしているっていうのはないかなあ。今は開催されていないけど、同じ頃に始まった「Sense of Wonder」や「KAIKOO」には同志感みたいなものもあって刺激を受けましたね。あとは、初めてのフジロックも面白かった。マーチンのブーツ履いて行って、あの豪雨の中テントも持ってなくて、友達のテントに潜り込むっていう。今考えたら命にかかわるけど、そもそも初めてのフェスで何も分かってなくて(笑)。参考というか、そういうのは自然と自分の心の中に残っているし、フェスでも日常でも、刺激を受けるものに何となく影響を受けてるっていうのはあると思います。

-麻生さん自身は今でも普段フェスに遊びに行ったりするのですか?

行きますね。「フジロック」、「サマーソニック」、「頂」、「豪雪JAM」あたりは最近も行きました。「豪雪JAM」は今年はブッキングを手伝ったり。

-今年の「豪雪JAM」は「SYNCHRONICITY」感というか、新しさも感じました。出演者発表のリリースも麻生さんから届いて、関わっていることを知りました。

あのフェスはすごくいいフェスだと思ったので、もっと認知してほしいなって思って、ブッキングだけじゃなくて、リリースも手伝おうって感じで。フェス自体もいいけれど、樋熊さんを始めとした主催チームの人間性も最高で、応援したくなるんです。決して大きなフェスではないけれど、こうして取り上げてくれるメディアは本当にかけがえがないです。

-Festival Lifeでも樋熊さんはお世話になっています。主催が魅力的なフェスは長く続くと最近特に感じます。

そう思いますね。結局はフェスも人が作っているものなので、そういうところがフェスの細部に滲み出てくるんだと思います。

-なくなってしまうフェスも多い中、「SYNCHRONICITY」が長く続く理由は何だと思いますか?

いつの間にか古株のフェスみたいな感じになってきてますよね。Festival Lifeでインタビューしてもらったのも7、8年前ですもんね。

-まだブログメディアだった時代に、突然のインタビュー依頼を明るく受けてくれたときから、8年ほど経ちました。

お互い長く続いてますよね(笑)。「SYNCHRONICITY」は14年間続けてますけど、長く続く理由の一つは、どこにもコントロールされずに、責任を取れる範囲でやってきてるってことだと思います。現実的な答えにはなるんだけど、しっかりと意思を持った上で自分たちのキャパシティを客観的に見極められるかどうか。

もともと、フェスを大きくしたいとか、来場者を増やしたいとかではじめているわけではなくて、「もっと面白くしたい」という想いが一番強い。規模の大きさよりも感動の大きさなんです。新しいことにチャレンジしないと陳腐化するし感動もワクワクもない。だから色んな意味で「前の年の120%を目指す」ということをテーマにしてるんです。規模は結果として広がってきたところもあるし、これくらいの成長スピードがちょうどいい。やることが想像に追いつかないといつか無理が来る。そういったフェスもたくさん見てきました。

アーティストとの距離が近い都市型フェス「SYNCHRONICITY’16 – After Hours -」に潜入してきた!

-現在のフェスシーンはどう捉えていますか?都市型フェスと呼ばれるものも増えました。

自分たちがフェスをはじめた頃はノウハウがほとんどなくて、個人で抱え込んでやっている人が多かった。どうやってフェスを残していくか、存続させられるかの意識よりも「フェスをやりたい!」という熱い想いが強かったんだと思います。それはそれで面白いフェスがあってとても刺激的でしたね。「SYNCHRONICITY」は、フェスをやりたいということではなく、都市の面白さやエモーション、カルチャーを伝えたいということが大前提で、それがたまたまフェスだった。

-都市の面白さやエモーション、カルチャーを伝えるためには継続していかなければいけない、と。

そうですね。続けないとそれを伝えられなくなる。そういう意識があって、自分たちでコントロールしつつ、責任の取れる範囲で成長させることができたからこそここまで続けて来れたんだと思います。今はフェスも成熟してきていて、良い意味でビジネスとして、予算を組むにはどうしたらいいかとか、どういったチームを運営に入れたらいいかなどの情報も手に入れられるので、新しくフェスを始めるのにも環境は整っていると思います。そういうノウハウって昔はほとんどなかったですからね。

-今後はどういったフェスが生まれたり、長く続いていくと思いますか?

日本で言うと行政や街の関わりあいの中で、新しいフェスやイベントが生まれていくことが増えると思います。Spotifyなどのサブスクリプション・サービスも浸透してきていて、様々な音楽がより身近なものになっている。一方「SYNCHRONICITY」に出演するアーティストもメジャーで活躍することが多くなっていて、マイノリティだったものがマジョリティになってきている。僕らがいるフェスシーンはそんな過渡期だと思うし、データからも見えるようにライブの来場者は増えていてその重要性は高まっている。ライブの魅力や音楽の多様性を伝えるフェスという文化は、よりオーバーグラウンドなものになっていくと思います。

SYNCHRONICITY’19


SYNCHRONICITY’19 OSAKA

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