フェス主催者インタビュー|KOYABU SONIC主催・小籔千豊

ゴールのつもりがスタートだった。コヤソニ開催までの道のり

-舐められていた?そうなんですか?

「え〜そんなん客入るんか」とか、キャパ100人くらいの頃に言われていたのでね。「絶対1000人くらいの前で、いつかやったる!」と僕はそのときに腹立ちつつ決意して、いつか見返してやりたいと。ビッグポルノは、そういう意味でもめっちゃ真剣にやってたんですよ。

なので、もう嫌われてもええわと思いながら決意して、元々交流のあったスチャダラさんとかに「僕、コヤブソニックっていうの、やろうと思ってるんですけど。1000人とかの前でビッグポルノのライブやりたいんですよ」と連絡したところ、「コヤソニ〜?俺たちが出なきゃ始まらないっしょ!」と言ってくださったんですよ、BOSEさんが!そして次には曽我部恵一さんにも事情を説明してお願いしたら「あ、面白そうですねえ。ぜひ出させてください」と。いやもうふたりとも、むっちゃええ人!そしてAFRAさんも「はいはい!出ます〜」ってなって。

-すごい。

そうなんですよ。さらには、そのお願いの連絡をした直後にスチャダラさんのライブへご挨拶もしたくて伺ったときに、ゲストで出てきていたハナレグミさんも、BOSEさんが打ち上げの場で紹介してくれてトントン拍子に決定して。

-豪華な面々が、スムーズにどんどん決定していくのはすごいですね。そして皆さん、めっちゃいい人。本当に素敵な関係ですね。

いやでも、僕そのときまで渋谷系以外音楽聴いてなかったから、ハナレグミさんのことを知らなくて。でもそのスチャダラさんのライブのとき「今夜はブギーバック」を一緒にやっているのを拝見して、この人むっちゃうまいし出てもらえたら嬉しいくらいの感じで、お願いしたんですよね。後日、とろサーモンの村田だったかな、「コヤソニ誰出るんですか?」て聞いてくるので「いや、知らんと思うけど、ハナレグミいう人も出てくれることになって」「え!!!めっちゃすごくないですか?」「え、知ってるの」「知ってるも何もめっちゃ有名ですやん。てかこの前、俺カラオケ行ったとき歌ってましたし、小籔さん聴いてめっちゃええ曲やなって言ってましたよ」とか言われつつ。

-はははは!

でも本当にハナレグミさんはすごくて。1回目のときなんて、お客さんが3000人も入る大阪の野音だというのに、ハナレグミさんのギターと歌声しか聞こえないわけですよ。会場がしーーーーんっとしていて「あれ、お客さんおれへんのかな」と思って見に行ったら、会場中が聞き惚れていて。あれは僕も泣きました。毎回エグいくらいお客さんがしんみりと耳を澄まして聞き込んでいるその様子も凄い。それと同時に、僕自身も第1回のとき、ビッグポルノで口からは下ネタの歌を歌いながら、半泣き&感無量になっていました。やっとここまで来たんだ、と。見返してやりたい、という夢が叶ったわけですからね。そんなわけで、やっとゴールだという想いだったし、1回だけやって終わるイベントのつもりでした。でも第1回目をやってみると、みんながこれはまたやったほうがいいよと言ってくれて。BOSEさんも「こんなピースフルなフェスはないよ?」と。みんなが「小籔のためなら出たるわ」「続けなよ」と言ってくれた。確かに、出演者の楽屋の一体感はすごかったし、みんなが優しいとそのときに感じました。

初回の「KOYABU SONIC」ポスター

-普通のフェスよりも主催者が本当にみんなを繋いでいる、という雰囲気もあるのですかね。

そうですね。機械的に、それぞれが会場までやって来て、舞台出て終わり、という感じでなく、全員が小籔のために来てるから。楽屋でたとえ知らん人でも「あ、あなた小籔と知り合いですか?僕も頼まれてきたんです〜」みたいな雰囲気になる。それが平和な感じだと。あと、僕自身は音楽フェスに行ったこともなくコヤソニを始めたので、ステージの進行も、お笑いのライブのようにやっていたんですよね。「どうもー 皆さん〜 今日は来ていただいてありがとうございます〜 では1組目はこの方々です〜」と舞台上に出て行って出演者の紹介を話すし、ミュージシャンの方の演奏終わっても「ありがとうございました〜」ってステージ上へ絡みに行くんですよ。それが新しいって音楽の人たちからは言われました(笑)。芸人からすれば、セッティングの間に無音だっていうのもありえなかったので、レイザーラモンと喋って繋いでたら、それも新しいと言われましたね。まあ…新しいっていうか無知だっただけなんですど(笑)。

-今コヤソニが掲げていらっしゃる“お笑いと音楽の融合”というのも最初から自然にできてしまってたんですね。

それもね、周りが言い出したこと、という感じもあって。自分はオモロい友人、後輩はたくさん知っている。だからそれならば自分から自信を持って紹介できるということであって「お笑いと音楽を融合してやろう!」だなんて全く思っていなかったんですけどね。フェスをやるってなったときに、フジロックみたいに大規模にはできない、サマソニみたいに外タレ呼べない、ライジングサンみたいにいいロケーションでできるわけではない。でも、僕ができる最大限のことをやろうと思ったら、一番の強みは自分にオモロい芸人の知り合いが多いってことなのでね。新喜劇のベテランさんとかも、僕が頼んだら、めだかさん、チャーリーさん、桑原(和男)師匠、島木(譲二)さん、オクレさんって、もうバンバン「はいはい〜」って出てきて下さる。その辺は、甘えさせてもらってます。

出演した芸人はあの人の音楽が好きだったから嬉しいって言ってくれるし、ミュージシャンの方は好きなお笑い芸人と出会えて喜んでくれるし。お互いが好き合ってくれてるから、僕は本当に楽ですね。お金目的だったら出ても意味ないフェスなので。だってねえ“コヤソニ出演”って、もうほとんど経歴に傷つけているわけですよ。たとえばCharaさんとか、コヤソニ出ていただいても…。Perfumeとかだってねえ。

-いやいやいや(笑)、皆さん楽しまれているんだと思いますけども。でも融合という意味では芸人さんの中でも音楽活動が本格化している人もこの10年くらいで増えているような気がします。

確かに。くっきー(野性爆弾)なんかは、初回からずっとバンドで出てもらっています。当時はフットボールアワーの後藤たちと組んでいたバンドでの出演でしたけど、後藤が忙しくなりすぎて今ではくっきーはまた別のバンド『THE SESELAGEES』で出てくれています。

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復活のきっかけはチャットモンチー

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