フェス主催者対談|松原裕(COMING KOBE)× 大原智(ITAMI GREENJAM)

阪神淡路大震災の10年目に立ち上がり、今年で14回目を迎えた入場無料のチャリティーフェス「COMING KOBE」(カミングコーベ)の主催者である松原裕氏と、その松原氏とは旧知の仲であり、大きな影響を受けたと語る関西最大級の無料フェス「ITAMI GREENJAM」主催者・大原智氏の二人が登場。

前編の松原氏のインタビューに引き続き、後編は「ITAMI GREENJAM」主催の大原氏と「COMING KOBE」主催の松原裕氏によるクロストークをお届け。

CROSS TALK:松原裕(COMING KOBE)× 大原智(ITAMI GREENJAM)


大原: 前半では「COMING KOBE」のことを掘り下げさせてもらいましたが、後半は対談ということで、さっきよりもフラットに色々話していきたいと思います。そもそも、僕と松原さんのスタートって覚えてます?

松原: ライブハウスで働いてたころ、担当者が休みで、大原のバンドの精算したのが最初やないかな。カウンターの前のテーブルやったかな。

大原: そうそう、最初担当者じゃなかったですよね。

松原: それで、ライブは何回か見たことがあって、次ブッキングしたのが、オールナイトとかで、そのタイミングで名前と顔は一致したかな。

大原: 僕は松原さんは知ってましたけど、いつもの人と違うっていうのがありながらも、「音楽辞めるまで面倒見たる」みたいなこと言われたんですよ。

松原: あー、うん。

大原: 絶対嘘や!絶対嘘や!と思って(笑)

松原: その頃は、よう言うてたと思う。

大原: よう言うてたんや(笑)

松原: とにかく男気みたいなんに憧れてて。ビートたけしさんが、3,000万円くらいの通帳を別で作ってて、どんなに困ってもこの金は触らへん。このお金は誰か友達が助けてくれって言ってきたときのための貯金やと。それ聞いて、めっちゃかっこええなと思って。

大原: うん。これや!と。

松原: それで速攻で通帳もう1つ作って、毎月5万ずつ貯めててん。

大原: まじっすか?(笑)

松原: そのくらい、任侠ものとか海賊とかの男気に影響受けて、そういうこと言うてんだと思う。自分に何の力もないくせに。

大原: そう考えたら、最初から、リーダーとか、人に何かをやってあげることへの憧れとかは強かったんでしょうね。

松原: あったと思う。小学校の友達とかと集まると、小学校時代から、リーダーシップと新しいことを始めようとすること、常識と違うことをしたいっていうのは、すごく強かったって言われるなあ。

大原: そうなんですね。

松原: でも当時はそれが、「仕切り」とか「調子乗り」っていうカテゴリに入ってたみたいだけどね。幼馴染たちは、今になってそれが、「仕切り」とか、「調子乗り」じゃなくて、そういうことやったんやなって感じ。

大原: そもそも、そういう人なんやな。

松原: うん。そういう人なんやな。

大原: 「COMING KOBE」を立ち上げたりして、松原さんが背負うものが増えてきた時期と、青春パンクブームが下降線になってライブハウスシーン自体がちょっと停滞してた時期が同じ頃だたったと思うんでけど、あの時期に、レーベルを立ち上げたり、全国のライブハウスとコミュニティを作る活動をしてたじゃないですか。あのときってどんな気持ちで突き進んでたんですか?

松原: うーん…。

大原: 当時は思わなかったんですけど、今考えたら、子どもさんも小さかったじゃないですか。でも、打ち上げ行って、走り回って…。あのとき突き動かしてたものは何だったんですか?

松原: 簡単に言うと好奇心かな。もうとにかく、この茂みの奥に何があるかが気になってしょうがなかったかな。レーベルも、ライブハウスも、出会ったバンドがどう成長していくかもそうだし。打ち上げでもバンドの人間に興味があるから、こいつどんな考え方持ってて、どう引き出したろかなと思ってて。でもそのためには、まず認めてもらわなあかんから、俺すごいってことを見せるために、酒もとにかく飲んで。イッキして力見せて。

大原: 男気や(笑)

松原: 男気やな。それで、お前らついてこいと。一緒に面白いことしようやと。

大原: なるほど。

松原: とにかく興味があったな、いろんなことに。でも、今もかな。「行動力あるね」ってめちゃくちゃ言われるんだけど、何で行動しないかが分からない。

大原: 周りの人はめっちゃ興味あると思いますよ。そのバイタリティ何なんって。

松原: 逆に俺は何でないかが分からない。こないだも、有名なお肉屋さんの人が無料でノウハウを教えるってことを始めたらしいって友達に聞いて、速攻ネットで調べて電話してん。そしたら友達は、「何その行動力!」って言うんだけど、俺からしたら、いつ電話すんのって思うの。その話聞いたら、電話しない?

大原: すげぇ!と思ったら電話しますよね。

松原: するやろ!俺はもう「すごいな、その行動力」の意味が分からない。

大原: じゃあ本当に、いろんな要素あると思いますけど、エンジンは7割8割が好奇心なんですね。

松原: うん、好奇心。本当にすぐやらんと嫌。これは仕事になるけど、メールも見た瞬間に返さないとあかんと思う。メール来て、これ後で返そうと思ってるやつは、成功しないと思うねん。もしその瞬間、別のことを考えなきゃいけないってときは、例えば「5時に青いボールを持って来て」って言われたりしたら、「一応確認です。5時に青いボールですよね?」って一旦相手に返したら、相手から返信が来るまで時間が稼げるやん。俺は、そうやってぱぱぱぱっと返さないと、何も進まないと思ってる。

大原: 仕事術の話やん。

松原: せやな。NG出してる暇があったら、行動したほうがいいと思う。

大原: 僕もできるだけなるはやで投げるようにしてるんですけど、LINEができたから、余計に怖いですけどね。返ってくるのバリ早いと思って。よっしゃ処理した!と思ったら返ってくるっていう。

松原: めちゃめちゃ早いよな。もうほんまに無理なときは、既読しないようにするしかないな。後で見るって機能つけたらいいのにって思うわ。

大原: ははは。いいっすね!


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