2日間で約6,000人が来場した日本最速のソーシャル・ディスタンス大規模ライブイベント「THE BONDS 2020」ライブレポート

8⽉1⽇、2⽇に⼤阪城ホールにてライブイベント『THE BONDS 2020』が開催された。

『THE BONDS』(=絆の意)は、新型コロナウイルスの影響で2021年に延期となった、⼤阪・舞洲にて⾏われている⼤型野外フェス『ジャイガ』のスピンオフイベントで、今だからこそ⽣のライブを届けたい、感じてもらいたい、という想いから開催が実現。国のガイドラインに基づき、電⼦チケットの採⽤により接触が極⼒抑えられた⼊場、マスクの着⽤や⼊⼝での検温に加え、⼤阪府の追跡システムへの登録及びCOCOAアプリのインストール、1時間に3〜4回周期の換気が施され、場内は随時スタッフにより消毒。アリーナ席は1⼈1⼈のソーシャル・ディスタンスが保たれた⽴ち位置指定のマスエリアを配置、スタンド席は左右に1席以上のスペースを確保するなど、徹底した感染防⽌対策が実践され、2⽇間で約6,000⼈を動員。緊急事態宣⾔以降、観客を⼊れたアリーナ規模のライブとしては全国初の開催となった。

会場の様子


「THE BONDS」DAY1レポート

まずは初⽇のオープニングアクトに抜擢された優⾥が、⼤阪城ホールの⼤きなステージにアコースティックギター1本で果敢に挑み、⾊気漂うスモーキーな歌声で⾒る者を虜に。「ずっとストリートライブをやってて、⼤阪城ホールに⽴てるなんて夢にも思ってませんでした」という⾔葉に⽿を疑うほど堂々としたパフォーマンスを⾒せ、FM802のDJ中島ヒロトと、『THE BONDS』のプロデューサーであるキョードー⼤阪・川上慎介⽒による開会宣⾔では、「このイベントが成功すれば、必ず次につながっていく」(中島)という想いをオーディエンスと共有。その熱いバトンを受けてトップバッターを務めたのが、神⼾出⾝のロックバンドKNOCK OUT MONKEYだ。「ライブが帰ってきたぞー!」(Vo&G・w-shun、以下同)との⾔葉を受け、次々と拳を突き上げジャンプする観客を⾒て、w-shunも嬉しそうに微笑む。「ここで俺らが伝説を作れたら、もっと⾳楽が活気づくと思う。⼼の濃厚接触をありがとう!」と、その⾳のみならず⾔葉でも終始オーディエンスをフックアップし続けたタフなステージだった。

愛媛発の男⼥ツインボーカルバンドLONGMANは、「⼈がいるってめっちゃいいですね! 今⽇は⾳楽が未来につながる⽇になればいいなと思ってます。しっかり楽しんで、みんなで笑って帰りましょう!」(G&Vo・HIROYA HIRAI)と⼈前で⾳を鳴らせる充実感を噛みしめ、⼈懐っこい歌声をフレッシュなメロディックパンクに乗せ疾⾛。来年の『ジャイガ』での再会をオーディエンスと共に願いながら⼀気にたたみかけ、リハの段階から度肝抜く演奏&歌唱で会場をざわつかせたフロム名古屋のSuspended 4thは、いきなり⻑尺のドラムソロをぶちかましたかと思えば、バキバキの⾼速スラップベースにエッジィなギターのカッティングがなだれ込む圧巻のオープニング。「⼤阪城ホールでも遊べるようなバンドでよかったです」とのKazuki Washiyama(G&Vo)の⾔葉通り、ストリートだろうがライブハウスだろうがアリーナだろうが⼰の⾳をかき鳴らすひたすらクールなパフォーマンスの連続で、僅か3曲で完全にオーディエンスを撃ち抜いた。

11カ⽉ぶりのライブながら、しょっぱなから疾⾛感溢れるナンバーを連発してみせたのがDizzy Sunfistだ。「リハの段階で号泣してしまった」(Vo&G・あやぺた、以下同)と久しぶりのライブに感無量の表情を浮かべつつ、「⽣きていくためにはライブが必要なんやってホンマに思いました。⽣きて⽣きて⽣きてまたライブハウスで会おうな。夢は死なへん!!」と最後まで⾳楽へのピュアな情熱を燃やした。続くtricotは、変拍⼦やリフにもジャストでシンクロする照明と共にダークでアートな世界観を構築。この⽇は空きっ腹に酒/他のシンディ(Ba)をサポートに迎え、正確無⽐にストップ&ゴーを繰り返すような壮絶なビート上を浮遊する歌声とメロディで、tricotの神髄をこれでもかとオーディエンスに突き付けた。

Hi-STANDARDの難波章浩(Vo&Ba)率いるNAMBA69は、オープニングのSEを遮り、「久しぶりに会えて嬉しいよ。楽しみにしてくれたみんな、やろうぜ!」(難波、以下同)とコロナ禍に惑いながらも今⽇という場を選んだ想いの丈を切々と伝えていく。そんな魂の⾔葉にオーディエンスが応えないわけがない。0曲⽬ですでに絆が⽣まれた⼤阪城ホールに、無敵のメロディックパンクが幾度となく響きわたる! 新ドラマーMORO(ex. Shiggy Jr.)を迎えた渾⾝の新体制初ステージを、⼤阪の地にしかと刻み付けた。

初⽇のトリを飾ったMY FIRST STORYは、ド頭からラウドなバンドサウンドで圧倒! と同時に、久々にライブができる喜びに思わず笑みがこぼれるメンバー。だが、それはオーディエンスとて同じで、⾶沫感染防⽌のため⼤きな声は出せなくとも、会場の⾄るところから伸びるその⼿が気持ちを代弁しているかのよう。1曲でも多く、1秒でも⻑く、この幸福が続くようにと⾔わんばかりに歌い継いでいくマイファス。「⾳楽は不要不急のものじゃない、絶対に必要なものなんだ!」(Vo・Hiro)と最後の最後まで⾳楽の⼒を信じ続け、記念すべき1⽇を締めくくった。

MY FIRST STORY

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