4つのバンドで表現をする川谷絵音が、音楽フェスの全盛期に思うこと

バンドごとに出て行く場所も変えていきたい


―川谷さんの場合は現在4つのバンド(indigo la End、ゲスの極み乙女。、ジェニーハイ、ichikoro)を並行していますね。それぞれのバンドで、出演するフェスの方向性みたいなものについての違いがあったり、アーティスト側から意向を持って選んでいたりしますか?

出演するフェスに関しては、indigo la Endとゲスの極み乙女。に関してはあまり差がないです。で、逆にichikoroに関しては、もう少し地元に根付いたような、”でっかいフェス”というより、コアな音楽ファンが来るような場に出ようかなと思っている感じはあります。去年、群馬で始まった「Topped!」という山奥でやったフェスに、ゲスで呼んでもらったんですけど、あれは普段共演しないような人たちばかりと一緒に出られて、ああ楽しいなと思った経験でした。

僕もね、フジロックとかは行きたいですよ。それは出演したいという意味でもあるし、来日するアーティストが気になっていれば、サマソニだったりフジロックだったり絶対チェックします。でも結局は自分で観に行きたいフェスって、もっと小さいものなんですよ。渋谷で往来自由でやっているイベントなどで、面白そうなメンツだなって思うと行きたいって思うことは結構あって。日本人のアーティストでも大きいフェスには出ていなくてもいっぱいいい人がいて、まあ集客は難しいと思うけど……そういうものがちゃんと成り立ってほしい。今みたいな大きいフェスを半分くらい削り、そういう小さいフェスがもう半分くらいできれば、聴く側のスタンスも変わってくるのかなと思ったりはしますけどね。

―確かにそうですね。川谷さん自身が、自分がリスナーとしてもそういうフェスに行きたいし、そういう場所が必要なんじゃないか、という。

そう。大きなフェスも必要だし、でももっと違うフェスやイベントも必要だと思うので。サカナクションの山口一郎さんがやっている「NF」っていうクラブイベントでも、彼が言っていたことには「あれをやっていることでサカナクションのファンが減った」と。クラブの音楽をイベントを通して体験して、どんどんそっちが好きになってライブやイベントもそちらへ行くようになっちゃうんだ、と。でもそれって新しい音楽に触れられる、そういう人が増えるっていう意味で、すごくうれしいことじゃないですか?だからもっと攻めたフェスみたいなものをデカい場所でちゃんと企画する人が増えればいいな、って思いますけど。……まあいろいろね、もちろん収支のお話にもなると思うので。

―川谷さん自身が何かキュレーターなど務めて開催するという考えなどは……

僕は、絶対にやらないです!

―やらないですか?

そういう責任を負いたくない、というか負えないんですよ。僕はそれを観に行きたい側、なんです。誰かにやってほしいなって。自分で音頭を取るってなったら、またちょっと違う感じになっちゃうと思う。そして段々と「やばい、このままじゃ赤字だ……!」って追い詰められて、結局は既存の大型フェスに出ているメンツを呼び始めたりして、今までと変わらないことになる……みたいなのがありそうなので。

―なるほど(笑)。

それを感じたのが、先ほど話した去年の群馬の「Topped!」で。第一回目だったし、僕らがレコーディングをしてもらっている美濃隆章さんが所属しているtoeとか、OGRE YOU ASSHOLEとか、僕がかっこいいと思うバンドがたくさん出ていて、いいなって単純に思いました。もっとああいうところに人が増えればいいのになと。

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「みんなが聴いているもの”ではない音楽を知るということ」

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