【Coachella 2023体験記】グローバル、ジェンダー、ショービズ、常に進化するコーチェラの3日間で起こったことをレポート

2023年4月に開催されたアメリカの「Coachella Valley Music and Arts Festival 2023」(通称、コーチェラ)に参加者によるレポートをお届けします。(現地での音声収録は下記関連記事をチェック!)

今年のコーチェラを振り返ってみよう。フランク・オーシャンを現地で観た人の感想は?【#FJPodcast 5月18日配信】

今年のコーチェラは、ヘッドライナーが三者三様で、三日間まるで違う雰囲気となった。Bad Bunny BUNNY、BLACKPINK、Frank Oceanという音楽性も人種も雰囲気もまるで違う3組で、これがとても2020年代のコーチェラらしい。今回は2018年ぶり、2回目のコーチェラ参加。前回参加時と比べて気づいた変化点など、今後コーチェラ参加を検討している方の有益な情報になればと思い、時系列で書き残してみました。(Text by Eriko Sakai)

DAY0:まずはパームスプリングスへ

ロサンゼルス空港に到着するとすでにコーチェラに行きそうな人で溢れている。Palm Springs行きの12時発のシャトルバスの受付を済ませると、前回同様乗車券となるタグを貰えた。前回行った2018年時は、シャトルの乗り場がややわかりにくい場所にあったが、今回はターミナル1のバッゲージクレームからすぐ近くに変更されていて分かりやすくなっていた。シャトルバスの乗車もスムーズで、ホテルまでも渋滞なく約2時間半でPalm Springsに到着。14時台のバスに乗車した友人はLA名物の渋滞にハマり、4時間かかったそうなので12時発をおすすめしたい。

Palm Springsのシャトルバス停車場はRenaissance Palm Springs Hotelの駐車場ひとつのみである。我々はこのホテルの近くの激安ホテル(モーテル)を確保していたので、この駐車場から15分程歩いて宿泊先へ向かった。移動中、アロハシャツを着ている陽気なお兄さんに遭遇したので世間話をしていると、Frank Ocean見たさにハワイから来たという。ハワイから来た僕もクレイジーだけど、わざわざ日本から来た君たちはもっとクレイジーだね!と言われた。そうかもしれない。

コーチェラ自体は翌日からなので、この日はPalm Springsのダウンタウンを散策。Palm Springsはもともと砂漠のリゾート地で雨がほとんど降らないため、ゴルフ場やポロクラブ、別荘が多い。そのためコーチェラ目的ではない家族連れなんかもダウンタウンでバケーションを楽しんでいる。余談だが、栃木県日光市と姉妹都市らしい。ダウンタウンにはスーパーマーケットやドラッグストアもあるので、必要なものはここで入手できる。コーチェラの会場までシャトルバスで約45分ほどかかるが、便利な場所ではある。ホテルやAirbnbも会場付近よりは比較的安い。

DAY1:Blink-182完全復活!?

待ちに待ったコーチェラ初日。相変わらずのスーパー快晴。カラッとしているので不快感が全くないこの気候が、コーチェラで一番好きなポイント。コーチェラは「Coachella Valley Music and Arts Festival」という名の通り、アートインスタレーションにも力を入れている。今年はトルコ人サイバーフィジカルアーティストGüvenç Özelによるインスタレーションや、スリランカ人のアーティストKumkum Fernandoによるロボット作品など、国内外からアーティストをキュレートしている。
   
コーチェラといえば、宇宙飛行士のインスタレーション(Coachella Astronaut)が有名だが、この作品はPoetic Kineticというコロラド州のインスタレーションデザイン会社による作品である。砂漠で開催されるフェス「バーニングマン」や世界最大の家電見本市「CES」、NY市のオブジェを手掛けている。残念ながらCoachella Astronaut君はもう会場に展示されていないものの、コーチェラアプリで遊べるARコーチェラでその存在を確認することができた。

コーチェラは夜の23時からヘッドライナーがスタートするようなフェスで、日中は日差しが強いため、体力を温存しておかないといけない。というわけで初日は16時台のMUNAからスタート。Taylor Swiftワールドツアーのオープニングアクトにも抜擢されている彼ら。ちょっと懐かしい80’sサウンドでPale Wavesのような雰囲気のバンド。しかもPhoebe Bridgersによって設立されたレーベルSaddest Factoryからリリースしているので間違いない。今回比較的ラテンやダンス系アーティストが多いラインナップの中では貴重な3ピースバンド。ヴォーカルのKatie Gavinは黒レザーのセットアップに網タイツ。ステージ上を縦横無尽に駆け回りながら歌う姿は、かつてのシンディーローパーのようでカッコいい。後半にはboygeniusが登場して一緒に「Silk Chiffon」のパフォーマンス。スタートダッシュから満足度が高すぎる。

続いてはOUTDOOR STAGEでSG Lewis。バンドセットでの演奏もあったり、Channel Tresが登場して「Impact」をパフォーマンスするサプライズも。この時間帯は悩みどころで、SG Lewisを早めに切り上げてYves Tumorを観たあと、Blink-182を観るためSAHARA STAGEへ向かった。コーチェラは会場自体がそこまで大きくないため、頑張ればちょっとずつ被りのアーティストが観られる。しかしながらBlink-182はとんでもない人が集まっていて全然見えない。青春時代といえば「Enema of The State」だったのでめちゃくちゃ楽しみにしていたのに、かろうじてモニターに映るTravis Barkerが見えたくらい。コーチェラのメイン客層はZ世代じゃなかったっけ?と疑いたくなるほどのブリンク観たい人、人、人。案の定「First Date」「What’s my age again」の大合唱。ラストに「All the Small Things」を演奏して、Blink-182完全復活。

SAHARA STAGEから急いでOUTDOOR STAGEに戻ってKAYTRANADA。去年ニューヨークの「Governors Ball」でも観たが、セットリストやミックスを大幅に変えていて素晴らしいパフォーマンスだった。特にBeyonceの「CUFF IT」のミックス(リリースなし)は、ヒットソングなだけにオーディエンスは大興奮。Chance The Rapperの「All Night」やJanet Jacksonの「IF」など、彼のセンスがツボすぎてとにかく最高のパーティータイムだった。そのままThe Chemical Brothers。2019年のグラストンベリー、フジロック、2022年のソナー(スペイン)と観てきて、ついに4か国目のケミカル。毎回セットリストを変えてくるので全く飽きない。ヘッドライナーのBad Bunnyの直前だったこともあり、イギリスや日本に比べると観客が少なかった。そんなことは関係なく常に最高のパフォーマンスをしてくれるのがこの二人で、踊りすぎてその後のBad Bunnyを観る体力がなくなってしまい、2曲だけ観てコーチェラ1日目は終了。ケミカルで踊りまくっていた頃、Metro BoominのステージにThe Weeknd、Futureらがサプライズ登場していたらしく、豪華すぎるゲストにコーチェラの凄さを改めて思い知る。

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DAY2&3レポート

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