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独占写真で振り返る!リバティーンズ香港GIG@Clockenflap2015

香港で開催された「Clockenflap」にヘッドライナーとして出演したリバティーンズ。某音楽誌に「アマチュア」と批評されたり、終演後、観客に感想を聞いたところ、まさに賛否両論の両極端の多種多様な感想を聞けたりと、いい意味でも悪い意味でも、いつも話題を振りまいてくれるのも彼らの魅力。そんな彼らの「Clockenflap」のライブの様子を独占写真とともレポート!復活後も彼らを追い続けてきたからこそ見えてきた「リバティーンズの新しい物語」とは? -Text by Shotaro Tsuda / Photo by アリモトシンヤ

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2014年のロンドン・ハイドパークでの復活ギグ、同年秋のヨーロッパツアー、そして今年の「グラストンベリー」でのサプライズ出演に引き続き、今度はまさかの香港(Clockenflap2015)で、再びお目にかかることになったTHE LIBERTINES(以下リバティーンズ)。久々のアジアでのライブで、彼らがどんなステージを披露してくれるのか、秋に発表した新作の楽曲がどの程度セットリストに盛り込まれるのか、そんな思いで迎えた「Clockenflap」中日の、土曜夜。真裏で、A$AP RockyMercury Revという、海外フェスならではのアーティスト被りに苦い思いをしながらも、あの4人をアジアの地で見届けるため、メインステージへと足を運んだ。

リバティーンズ登場!@Clockenflap 2015

20151128_the libertines_012ライブ開始20分前、前方の様子を確認するために、ステージ前に向かってみたが、ヨーロッパでの彼らライブに比べると、比較的簡単に前方まで行くことができた。前に進むと日本人の姿もちらほら見かけることができ、ところどころで日本語が聴こえてくる。「本当にピート出てくるの?」という不安の声や「十数年ぶりに観られる!」といった往年のファンの声も。もちろん日本人に限ったことでなく、彼らの姿を生まれて初めて観るということで、その興奮をぶつけてくる欧米人や、感動で既に涙を浮かべている現地のファンも見かけた。そこに集まった誰しもが「リバティーンズ」というそれぞれの物語を抱えて、その瞬間を待っている、そんな空気に満ちていた。

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そんな中、満を持して登場したリバティーンズの面々。会場から「ピート!」「カール!」という歓声が上がる。そして1曲目に披露されたのは、「Horrorshow」。演奏前には身動きが取れないほどの人に囲まれていたが、演奏が始まると同時に、さらにステージ前方に観客が詰めかけ、後ろからも次々と人が押し寄せてくる。勢いそのままに「The Delaney」、「Vertigo」が披露され、良い意味でも悪い意味でも”変わらない”彼らのスタイルは、もはや安心感すら感じさせてくれる。彼らにしか出せない、あの時代の、あの瞬間を切り取った音を、2015年というこの時代に披露してくれている。今この目の前で。イギリスでも、ましてやヨーロッパでもない、ここ香港で。

昨年から何度も彼らのライブを観ているが、ライブ序盤ですぐに感じたことは、いかなる状況でも一瞬で醸成されるフロントマン二人の相変わらずのカリスマ性と、ジョン(Ba)とゲイリー(Dr)の二人が絶妙に保っているバンドとしての”不安定な中での安定感”だ。もちろん安定感などと言っても、お世辞にも巧みな演奏を聴かせてくれるバンドとは言えないが、昨年からのツアーでの経験と新作リリースによって、リバティーンズサウンドの屋台骨ゲイリーとクールにバンドを引っ張るジョンの二人が、より一層落ち着いて、リバティーンズの独特のサウンドはもちろん、バンド自体を支えるようになったことが、復活直後からの一番の変化だろう。

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まだまだ続く「リバティーンズ」という物語

20151128_the libertines_010この日のセットリストは、1stからの楽曲が比較的多めの構成。19曲中、半数弱の8曲が1stから、5曲が2ndから、その他「The Delaney」や「Don’t Look Back Into the Sun」といった初期の代表曲が中心の構成だった。個人的には、冒頭で述べたように、秋に発表した新作の楽曲がどの程度セットリストに盛り込まれるのか、そしてそのときの観客の反応に注目していたわけだが、遂に5曲目、新作アルバムからの楽曲「Fame and Fortune」が演奏される。

この「Fame and Fortune」は、今年の「T in the Park」で初披露され、「Reading Festival」、「Lollapalooza Berlin」などの大規模なフェスを含む、ここ最近の彼らのライブで必ず演奏されている楽曲。ピートとカールが不法占拠した空き家で暮らしていたり、ロンドンのHolloway Road(ホロウェイロード)にあるフラットに住んでいたりした時代を反映させた歌詞になっており、あの時代の彼らの身の回りで起こっていたことを、現代版にアレンジした内容になっている。そんな楽曲に、過去の楽曲と同じように盛り上がる観客もいれば、確認するかのように彼らを見届ける観客もいる。反応はそれぞれだが、今のリバティーンズを受け入れている。そんな光景を見た瞬間、リバティーンズというバンドも、そこに集まった観客も、ただの懐古主義ではない、2015年版の「リバティーンズという物語」を欲しているのだと再確認した。この日演奏された新曲は、「Fame and Fortune」に加えて、新作のリードシングル的な役割の「Gunga Din」の2曲。たった2曲だと思うかもしれないが、彼らが生まれた場所から遠く離れたアジアの地で、その2曲が見せてくれた光景は、「リバティーンズという物語」がまだまだこれから続いていくことを予見しているのかもしれない。

ボウイの「Changes」を歌い、ギターを客席に投げ入れる!?

20151128_the libertines_002香港を大いに沸かしていた彼らだが、もちろん何もなく予定調和でライブが終わるなんてことはあり得ない。酔っ払って登場してそのまま退場するというようなことは、活動再開後はあまり聞かないが、活動再開後も、様々なハプニングを起こしてくれるのも、リバティーンズがリバティーンズたる所以だ。ハイドパークでの復活ライブでは、あまりの観客の加熱っぷりに何度もライブが中断し、ライブ後半では興奮した観客がスピーカーによじ登って再度中断、ヨーロッパツアーの千秋楽でも、ステージ前方で乱闘が起こるのを目の当たりにし、今年に入ってからは、嬉しい方のハプニングだが、Foo Fightersの「グラストンベリー」キャンセルを受けて、急遽当日ヘリコプターで現地入りしてライブを披露するなど、いつも話題に事欠かない。おそらく彼らの物語の中には「予定調和」という要素があらかじめ排除されてしまっているのだろう。

そんな中、今回の「Clockenflap」でのトピックといえば、アンコールで、デヴィッド・ボウイの「Changes」をカバーしたことだ。これまでのライブでもおそらく披露されていなかったカバーだが、ピートとカールが、まるでプライベートでセッションしているような珍しい姿を観ることができた。そしてハプニングといえば、そのセッション終わりに、ピートが弾いていたギターを観客席に投げ入れてプレゼントしたこと。(プレゼントといっても手渡すというようなものではなく、ギターを思いっきり観客席に投げ込んだという表現の方が正しく、味をしめたのか、ピートは今回のライブで二度も観客席にギターを投げ入れている)

このカバーに対する観客の反応をみていると、「あまり歌えていなかった」や「なぜ突然ボウイ!?」という声が多かったが、今の彼らが一番伝えたかったのは、実はこの「Changes」だったのでないかと、勝手に勘ぐってしまう。復活を遂げ、新作も発表し、新しい物語を描き始めた彼ら。後戻りはできない過去も受け入れながら、変化を恐れず、新しい「リバティーンズという物語」を模索しているのかもしれない。彼らを見守るすべての人にこうやって、それぞれの物語を提供してくれるのもリバティーンズというバンドの魅力の一つ。そして、まだまだこの物語が続いていくことを期待せずにいられない。それでは次は、日本で、その物語の続きを。

 

Ch-ch-changes
Oh, look out you rock n rollers
Ch-ch-ch-ch-changes
(turn and face the strain)
Ch-ch-changes
Pretty soon now you’re gonna get a little older
Time may change me
But I can’t trace time

変わっていくんだ
ロックンローラーを見てみろよ
変わっていくだろ
振り返って痛みと向き合うんだ
変わっていくんだ
人はすぐに歳をとってしまう
時間は僕を変えてしまうけど、
もう後戻りはできないんだ

「Changes」-David Bowie

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先日行われた香港「Clockenflap」に取材に行ってきたのですが、フェスの全体レポート/ファッションスナップを掲載する前に、リバティーンズのライブレポートをお届けしました。(全体レポ/ファッションスナップは後日掲載予定)日本未公開の写真とあわせてお楽しみいただければと思います。ちなみに運良くピートが投げたギターをゲットしたファンの方は返却を求められ、スタッフにギターごと連行されたそうですが、無事にギターを手にいれていることを願ってやまみません。割と命がけでキャッチしたはずなので。

Text by Shotaro Tsuda
Photo by アリモトシンヤ

Photo Gallery by アリモトシンヤ

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セットリスト(2015.11.28)
THE LIBERTINES @Clockenflap2015

1. Horrorshow
2. The Delaney
3. Vertigo
4. Can’t Stand Me Now
5. Fame and Fortune
6. Time for Heroes
7. Begging
8. What Katie Did
9. Gunga Din
10. Boys in the Band
11. The Ha Ha Wall
12. Last Post on the Bugle
13. Death on the Stairs
14. Tell the King
15. The Good Old Days
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E1. Music When the Lights Go Out
E2. Changes(David Bowie)
E3. Don’t Look Back Into the Sun
E4. What a Waster

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