パパフジロック奮闘記〜フジロックに家族で行ったら最終日の夜に奇跡が!?

7月23日(土)10:00 荷物の整理と朝のビール祭り

8.荷物の整理2昨日の反省として荷物が多かったことがあるので、朝イチのビールを飲みながら取捨選択をする。大きめの折りたたみ椅子はほとんど使う機会がなかったので、持っていかない。その代わりにエア・ソファを持っていくことに。フレディとライオネルは待ち合わせに便利なので、引き続き持っていく。10年来のフェス仲間が陣中見舞いというか、ビールを差し入れてくれたので、朝から酒盛り。子ども達は「遊びにいってきまーす」とピラミッド・ガーデンへ。なんか、馴染んできたな。

7月23日(土)13:30 大森靖子とかき氷

9.大森靖子とトム・オデール〜アルバム・リーフ〜ロボあたりが見たかったが、この日の会場入りも13:30過ぎで、やっぱり間に合わなかった。昼ご飯を食べつつ、かーちゃんは在日ファンク、とーちゃんは大森靖子というサブカル男女のカップルを引き裂く悪意に満ちたタイムテーブルを前に作戦会議。

個人的には、その後のトラヴィスとコン・ブリオのどっちを見るかが今回のフジロック最大の悩みどころ。ここで、何のためにここに来たのかをあらためて考えてみる。「子どもと一緒にフジロック」というのは親のエゴであって、暑さでグッタリしている子どもに無理強いをするのは酷だろう。辛い思い出にだけはしたくはない。あと、自分はだいたい毎年来てるけど、パートナーは久しぶりだし、次はいつ来れるかわからない。結論、なるべく移動を減らしてパートナーには自由時間を。というわけで、かーちゃんは在日ファンク〜コン・ブリオ、自分は大森靖子〜トラヴィスを選択し、子どもと過ごす時間を多めにとる。子どもはきっと音楽やライブに興味があるわけじゃないだろうから、大好きなかき氷を食べる。その横で酒を飲みながら見る大森靖子のライブは何ともシュールだったが、「音楽は魔法ではない。でも、音楽は…」というフレーズは、いつも以上に琴線に触れた。

7月23日(土)15:30 トラヴィスと紙飛行機

10.トラビスと1とーちゃんと遊ぼうモードを維持しながらグリーン・ステージへ。「紙ひこうき、つくって〜」というリクエストに応え、いくつか作ったが、なかなかうまく飛ばない。思ったとおり、ここで聴くトラヴィスは気持ちが良い。エア・ソファに横になる。いい時間を過ごしてるなと思いつつ、目を閉じる。遠くでトラヴィス、近くで子どもの声、ああ意識が遠のく…。その後、あえなく寝落ちした父親にかわって、様子を見に来たフェス仲間のR君が目一杯遊んでくれた。ご飯を食べにいったワールドレストランで会ったFestival Lifeの津田氏も目一杯遊んでくれた。ホント助かりました。他にもたくさんの人に支えられて、僕たちはいるんだと思いました。皆さんありがとうございます。

7月23日(土)19:30 ベックとエア・ソファ

11.ベックとこの日のヘッドライナーはベックを選択。お友達と合流して子ども達も機嫌が良い。子どもにとってはシガー・ロスよりベックの方が快適かもしれない。思惑通りエア・ソファで仲良く寝落ちしたおかげで、最後までライブを楽しむことができた。21:00過ぎ、子ども3人をキャリーカートに放り込んで撤収。土曜日にこんなに早い時間にテントに帰っていいものかと逡巡したが、まぁいいや。

7月24日(日)09:00 1日の計画を立てる

12.1日の計画をこの日は計画を立てて動くことに。早めにドラゴンドラに乗って、長男のメインアクトのDJみそしるとMCごはん〜下山してキッズ・ランドや川遊びをしつつ、次男のメインアクトのケロポンズ〜まだ足を踏み入れていないフィールド・オブ・ヘヴンより奥地を探索を視野に、ロバート・グラスパー、ケン・ヨコヤマ、ベビーメタル、ベン・ハーパーを狙う。最後をレッチリにするか、カマシ・ワシントンにするかは悩みどころだが、その時にいる場所からの流れで決めるというプラン。

しかし、6時に起きて風呂に向かうも2時間待ちで、出だしからつまづく。朝ご飯やおにぎりを握り、荷物をまとめているうちに、あっという間に時間が過ぎていく。ゴンドラの待ち時間もあり、山頂についたころにはDJみそしるとMCごはんのライブは中盤から後半へ。「見れてよかったけど、短かった」と、長男。なお、ドラゴンドラ自体は楽しかった模様。2度失敗するわけにはいかないので、早々に下山してケロポンズへ。会場中の子どもが集まってるんじゃないかと思う程の大盛況。人だかりに圧倒されたのか、緊張したのか、恥ずかしかったのか、いつものように歌ったり踊ったりせず、大人しく拝聴する次男。その後、休憩がてらヘヴンへ。こんなタイミングで歯が抜けて、長男は前歯が全部なくなった。

7月24日(日)16:30 伝説の予感と嫌な予感

13.伝説の暑さと埃っぽさを避け、かーちゃんはグリーン・ステージへ、男3人はところ天国へ。ロバート・グラスパーをBGMに川遊びもなかなか乙だ。居合わせた友人たちとしばし談笑していると、照れくさそうな笑みを携えて次男がやってきた。

「へーいっ!シャツもズボンもビショ濡れやないかーい!」

ここまで雨も降らず、大したトラブルもなかったので完全に油断をしていたので、着替えなど持っていない。防寒用のパーカーとレインウェアは、かーちゃんが持っていってしまった。そしてタイミングの悪いことに、雲行きが怪しくなり、急速に気温が下がっていく。とりあえずTシャツとズボンを脱がせて、自分の着ていた服を着せてみる。全然悪びれる様子がない。身体がけっこう冷えていたので、ラーメンを食べさせて暖をとる。長男は空気を読まず「ラーメンじゃなくてナポリタンがいい」と言うので、自分で買いに行かせる。ホワイト・ステージはベビメタ目当てのオーディエンスですでにパンパンだが、まだどんどん人がやって来る。雨雲はさらに広がり、ひんやりとした空気が立ちこめてきた。ベビメタ的には伝説の予感。その場に居合わせたことにワクワクしたが、こちら的には今雨に降られるとかなりヤバい。とりあえず、はよラーメン食べてくれや。

7月24日(日)18:30 決断のとき

4.ゆるくスタート2雨に備えてキッズ・ランドに退避。かーちゃんと合流し、パーカーとレインウェアを確保したので一安心。そこへお友達もやって来て、一緒に遊ぶ。けっきょく落ち着くところに落ち着くのか。ベン・ハーパーのライブも中盤に迫った頃、キッズ・ランドを後にして、グリーン・ステージ後方にて皆でチル・アウト。でも、それだけではもったいな過ぎるので一人でステージ前方へ。さすがにいい音出してる。5分だけでもこんなに良かったのだから、全部見れていたら、間違いなくベストアクトだったろう。

いよいよ、フジロックも終わってしまう。カマシかレッチリ、どちらで締めようか。今回ほとんど行けてないヘヴン方面に行くなら今動くしかないが、レッチリで大団円も捨てがたい…。と熟慮した結果、僕は大英断を下し家族に伝えた。今から苗場食堂に行って、もう一回DJみそしるとMCごはんを見るぞ。

7月24日(日)21:30 苗場食堂の奇跡

14.苗場食堂1偵察の結果、どんどんと人が流れていることが分かった。人気のないワールドレストランとかオアシスは、少し不思議な感じがする。極力混雑を避けるためにも、そしてグリーンステージに未練を残さないためにもレッチリが登場した頃に動くのがベストのタイミングと判断。ドンピシャで苗場食堂座敷の最前席を確保。

昼間に一度見たことから親近感を覚えたのか、リハを終えたおみそはんを発見するやいなや「あー、みそしるさん。おはようございます。どこ行くの?」と、勝手に話しかけている。子ども達は、相席したお兄さん・お姉さんとも、いつの間にか打ち解けている。これまでに何回も見たことのある風景だが、違うのはここがフジロック、苗場食堂でBGMが生レッチリということだ。そして私たち家族にとって初めてのフジロックを締めくくるヘッドライナー、DJみそしるとMCごはんがあらためて登場。楽しいライブが繰り広げられるなか、その瞬間がやってきた。おみそはんがオーディエンスと嫌いな食べ物について話し合う「食いモンドウ(苦手編)」のコーナーで、待ってましたとばかりに積極的に手をあげた長男が見事におみそはんの目にとまり、なんとそのままステージに上がってしまったのだ。

こんなことがあるのか!息子がフジロックのステージに立つことなんて!まったく考えたこともなかった。何回行っても、一度として同じ体験にならないのがフジロックだと思っていたけど、今回も思いがけないかたちで忘れられない体験になった。数える程しかライブは見れなかったけど、一生残る思い出ができた。ありがとうフジロック!本当に行ってよかった。

***

半年に及ぶ打合せと準備を経て、ついに家族でフジロックデビューしたパパ、本当にお疲れ様でした。最後の最後に予想もしていなかった奇跡まで起こってしまうのがフジロックの魅力なのかもしれません。来年も一人でも多くのパパフジロッカーと苗場で乾杯できるように、あと330日、頑張って過ごしたいと思います! See you in Naeba!!!

Text & Photo by Junichi Nagai
Edit by Shotaro Tsuda

 

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