インタビュー

FM802 DJ竹内琢也が気になるあの人にインタビュー vol.04 | 番下 慎一郎(bud music)

FM802のDJ竹内琢也が音楽業界の気になる人にインタビューする「BEAT EXPO 10-minutes GRAVITY × Festival Life」の第4回目に登場するのは、Nabowaやjizueなど、フェス好きにはおなじみのバンドが多く所属するbud musicのオーナー、番下 慎一郎さん。自身のレーベルのモットーや、音楽と関わる上での価値観などをお話してもらいました。(interview 2017.3.7)

Festival Life × FM802 BEAT EXPO 10-minutes GRAVITY
vol.04 番下 慎一郎 interview by 竹内琢也

-bud musicを始めたいきさつを教えていただけますか?

そもそも最初は会社ではなく、個人でやっていたんですよね。「bud music」と名付けたのも僕です。アーティストもNabowaしかいない状態で、彼らと一緒にやっていたんですが、仕事を辞めて独立して、会社にしたんです。そのあとにjizueやtio、Polarisなどが入りました。

-カクバリズムの代表・角張さんと「FM802 BEAT EXPO 10-minutes GRAVITY」でお話をした際に、「レーベルは印でしかない」というワードが出てきました。bud musicにも、”印”となるようなbud musicらしさがあると思うんですが、アーティストは番下さんが選んでいるんですか?

基本的には僕とつながりがあったり、僕が好きなアーティストを選んでいます。

-選ぶ基準になるのは、音楽性ですか?

音楽性と人間性ですね。僕らはインディーレーベルなので、そんなに資本がある訳ではないんです。限られた資本と時間の中でやらなきゃいけないとなると、自分の好きじゃないものはやりたくない。それがbud musicのカラーにつながっていると思います。”bud musicの”というか、どこのレーベルでも同じだと思うんですが、時間や労力、お金を使って自分の好きじゃないアーティストのことをやる意味は全くないじゃないですか。だから基本的には、僕が好きな音楽をやっているアーティストを選んでいます。さらにその上で人間的な部分や、やり方が合わないと、いいものは生まれないと思っています。

-なるほど。

そのアーティストが、人間的に僕じゃなくて別の人と合うなら、その人とやる方がいいと思うんです。だから、そのアーティストの音楽が良いからといって、必ずしもbud musicでやる必要はないんですよね。音楽が良い上に、音楽以外の部分も一緒に気持ちよくやれるかどうかだと思っています。「僕のことも理解してくれて、僕も相手のことを理解している」というのが大前提ですね。

-アーティストとリスナーが直接つながることができる時代になった今、レーベルが存在する意味って、どんなところにあるんでしょうか?

もちろんアーティストによっては、音楽を作る・演奏すること以外にも、自分でプロデュースしている人もいますが、他の仕事と同じように基本的には役割分担があります。アーティストは良い音楽を作る、良いライブをやるなどといった、”演奏にまつわること”をやるのが仕事ですよね。だから、演奏以外の仕事をそれ以外の専門分野の人が補うのがレーベルだと思うんです。アーティストもレーベルのスタッフも、それぞれ向き不向きがあるので、そこをサポートし合えるというのがレーベルの存在する意味なのではないかと考えています。

-bud musicが、レーベルとして重要視している部分はどんなところなんでしょうか。

レーベルがアーティストにできない部分をサポートするとはいっても、一緒にやったからといって良い結果がでるわけじゃないですよね。お互い頑張ったけど結果が出ないということは、いつでも起こり得ることじゃないですか。そうなったとしても「一緒にやれてよかった」って思える関係性を築ける相手だけを選んでいくことが大事だと思います。逆に、結果が出ていたら多少の不満があれどお互い納得できるので、お互いが我慢するんですよ(笑)。

-うまくいかないときも、もちろんあるわけですもんね。

うまくいかないときでもうまくやれるっていうのが大事だと思いますね。「一生懸命やっているけど、結果は出ない。それでもアーティストとレーベルの関係性として、一緒に頑張ってうまくやれている」ということが大事だと思います。前を向いて一緒にやっていけるかどうかということを考えるようにしていますね。

-そういった関係性を持てる相手なのかどうかは、どうやって見極めるんですか?

そのアーティストと出会って”いいな”と思ったり、相手から話をもらったとしても、すぐに一緒にやらないようにしています。考える時間やコミュニケーションをとる時間をある程度設けるようにしていて、理解を深めてから一緒にやるかどうかの判断をするようにしていますね。

売れて消えていくではなく、長く続けることに重きを置いていきたい

-「自分の好きなアーティストとしかやりたくない」というのが大前提にあり、それをレーベルとして実現していく上で、飲食店経営をするというのは重要なことなんでしょうか?
(※bud musicは京都で飲食店「BUNGALOW」「AB」を経営中)

ライブをするにしてもCDをリリースするにしても、作ってる最中はお金が入ってこないんです。CDショップに陳列されてお客さんに購入されるまで、CDを作っている間は出費だけなんですよね。その出費も結構な額で。1枚のCDを作るためにも、かなりの金額が必要になるんです。自分で会社を始めるときに、好きなタイミングでCDを出したり、ライブをやる資本を得るためにはどうしたらいいかを考えていて。だったら毎日売上が立つことをやろうと考えついたのが飲食店だったんです。

-資本もそうですが、気持ちの上でもちょっと楽になるんですかね?

気持ちの余裕が出ますよね。お金がないからCDが作れない、ライブができないかもしれないということを考えながらやるのって、すごくストレスになるんですよ。僕らはインディーレーベルだからそんなにお金はないにしても、アーティストがCDを出したい、ライブをやりたいと思ったときに「お金がないから今はやれない」と言わなきゃいけないのは、かなりネガティブですよね。やりたいタイミングでやらせてあげられることがすごく大事だと思うので、アーティストがやりたいなら二つ返事でOKを出せる状況を常に作っておくことが必要だと思い、今の形を選びました。

-bud musicは京都を拠点に活動しているイメージですが、「京都から音を発信する」という思いがあってのことなんでしょうか?

京都は好きで住んでいますし、京都に住んでいるからこそ今の自分があるので、そこが盛り上がると楽しいじゃないですか。自分が住んでいる場所でいろいろなことを完結できたらどれほどいいか!

-たしかに、家の周りで全部完結できたらいいですよね。

もちろん東京も海外も他の地方も行きたくて行ってるんですが、自分達が住んでいる場所が盛り上がってくれれば、僕たちはもっと音楽をやりやすくなると思うんですよね。

-番下さんはこれからbud musicをどうしていきたいですか?

自分の好きな音楽を自分の好きなペースでやっていくというスタンスは、基本的には変わらないです。レーベルを大きくすることよりも、長く続けることを大事にしているので。自分の関わったアーティストが、音楽活動をできるだけ長く続けられるのが一番の理想ですね。僕らもアーティストも、みんな音楽が好きでそれぞれの仕事を始めているので、売れて消えていくではなく、長く続けることに重きを置いていきたいです。

インタビュー後記 by竹内琢也

bud music所属アーティストの音楽はフェスが似合う!結成11年を迎え、2017年秋には満を持してメジャーデビューすることが発表されたjizueは2017年8月5日(土)〜8月6日(日)に富山 黒部市宮野運動公園で開催される「ホットフィールド」に出演。そしてNabowaは2017年7月1日(土)に大阪 服部緑地野外音楽堂にて開催される、竹内琢也もDJ / MCで参加する「夏びらき MUSIC FESTIVAL 2017 大阪」 に出演が決まっています。京都から音を発信するbud music、今後も引き続きチェックしていきましょう!

Text by 峯原拓也
interview by 竹内琢也
DATE:2017.3.7

>>bud music:http://budmusic.org/
>>FM802: https://funky802.com
>>BEAT EXPO : https://funky802.com/expo/

▶︎竹内琢也
20歳のときにワールドミュージックを紹介する番組でキャリアをスタート。現在はFM802 Monday&Tuesday 19:00~21:00「BEAT EXPO」、Thursday&Friday 5:00~7:00「DASH FIVE!」を担当。選曲、構成、ミキシングを手がけるアメリカンスタイルでもオンエアをしている。BECK、NORAH JONES、CLEAN BANDIT、ALABAMA SHAKES、OWL CITYなど海外アーティストへのインタビューも多数。

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