インタビュー

フェスな人008 | 阿蘇ロックフェスティバル発起人・泉谷しげるに直撃インタビュー!

70年代よりフォーク/ロックをけん引してきた日本を代表するミュージシャンのひとり、泉谷しげる氏。彼が発起人となり、熊本県・南阿蘇村の山を舞台に開催される“天空の音楽フェス”こと「阿蘇ロックフェスティバル」が、今年で初開催から三年目を迎える。このフェスは阿蘇の女性を中心に地元に根付いたフェスとして運営を開始。第二回目の開催を予定していた16年は直前の熊本地震を受けて延期となったものの、17年もほぼ同じアーティストが集結し、今年は昨年のリベンジ公演とも言える内容になっている。とはいえ、「これはあくまでロック・フェスで、復興のためのフェスにはしたくない」と語る泉谷氏。そこに込めた想いや、阿蘇の大自然を舞台にしたこのフェスならではの魅力を語ってもらった。

Interview:阿蘇ロックフェスティバル発起人・泉谷しげる

「日本で一番でかい音を出すフェスにしよう」

―泉谷さんが発起人となる阿蘇ロックフェスティバルは、15年に第一回が開催されました。まずはこのフェスが始まったきっかけを教えていただけますか?

「クラウドファンディングを使った事業をやりませんか」と話がきたのが最初だったんですよ。そこで、せっかくなら地方で何かをやろうという話になった。たとえば、天草や種子島のようなところでね。

―ああ、なるほど。泉谷さんはこれまでも地方活性化に取り組まれてきていますよね。

そう。ただ、大事なのは俺が何をやりたいかではなく、「地元の人が何をやりたいか」ということでね。つまり、「どうやって地域を活性化させるか」を考えると、地元の人たちが主導にならないと意味がねえな、と。それで話し合った結果、「ロック・フェスをやりたい」という話になりました。そうなると、天草や種子島はちょっと遠いよね。それで阿蘇でやろうということになった。とにかく、俺の方から何かを押し付けたりはしないし、俺にお伺いを立てるのもやめろと言って、地元の人たちにやりたいことを考えてもらった結果、阿蘇の女たちが作るロック・フェスが生まれたわけです。

―女性が中心になって運営するということも重要だったのですか?

やっぱり、熊本と言えば「肥後の猛婦(=勝気な性格の女性)」と言われるしね。あと、女性に任せようと思ったのは、基本的に食いもんのことを考えたからですよ。長く続くフェスというのは、食いものが美味しいことが多いから。

―泉谷さん自身も数十年前、阿蘇山の周りをツアーで回ったことがあったそうですね。

そうですね。冬の阿蘇を回ってね。そのときにすごく気に入って、「今度は夏に行きたいな」と思っていたんですよ。それを思い出したのもあって、阿蘇でやることになりました。

―では、泉谷さんが感じる阿蘇ならではの魅力と言いますと?

やっぱり、他ではちょっと見られない景色じゃないかな。あんなに美しい景色は他ではなかなか見られないですよ。綺麗で雄大で、食いものも抜群に美味い。展望台のところまで行って食べるアイスクリームも最高ですね。ツーリングをしても、「これ、日本かよ?」と思うぐらいの景色が広がっている。まぁ、晴れてればだけどね(笑)。

―ちなみに、15年の第一回開催は雨の中でのフェスティバルでした。

もちろん、その分思い出深いものになりましたよ。そもそも、ロック・フェスは不便なものだから。ただ、一年目は自分たちもあまりに無知だったんですよ。まず、交通の便が悪くて俺も会場入りが遅れたし、会場でも観客のエリアが斜面になっているから、出店も全部傾いていて。あれはお客さんも大変だったと思うから、今年は出店の場所を変えます。それに、ステージも落っこちたらどうするんだよという高さでね(笑)。前の方のお客さんは観るのに疲れたんじゃないかな。あまりにも間抜けなことの連続だった。それでも何とかやれたのは、演奏がよくて、楽しかったからですね。だからこそ雨の中でも乗り切れたというかね。

―実際に開催して分かったことも多かったのですね。ちなみに、第一回のラインナップはどんな風に考えていったんでしょうか? Every Little Thing、きゃりーぱみゅぱみゅ、スチャダラパー、東京スカパラダイスオーケストラ、チャットモンチー、MONGOL 800という、客層を限定しない、幅広いラインナップだと感じました。

それがロック・フェスティバルですからね。演歌の人が来てくれてもいいと思うし、あらゆるジャンルの人が来てくれていい。アーティストの顔ぶれも、自分もすべて把握はするけれども、基本的には地元のスタッフに任せてます。俺たちが考えたのは、とにかく「日本で一番でかい音を出すフェスにしよう」ということ。やっぱり、山の中だからさ。都会で周りに遠慮しながらフェスをするんじゃなくて、アーティストが「気持ちいい!!」と思えるような環境にしたい。だから、一番お金と時間をかけているのは「音」ですよ。山の上だとまじりっけのない空気の中で演奏できるから、音がとにかくよくて、大音量でも全然うるさくは感じない。かなりでかい音だけど、「あ、そう(=阿蘇)」という感じでね。

―はははは(笑)。

一回目に来てくれた人は、その気持ちのいい音を感じてくれたんじゃないかな。とにかく遠慮がねえから、きゃりーぱみゅぱみゅもものすごくでかい音でやってたよ。自分が演奏したときも「これは幸せだなぁ」と思いましたね。あとは、アーティストにどうやって同じテーブルについてもらうか、ということは腐心しましたね。そのために食いものを美味しくして、みんなほとんど楽屋にこもらず会場にいたんじゃないかな。わざわざ阿蘇まで来てくれたんだから、アーティストも美味しいものを食って、また来たいと思ってもらいたい。そして何より、地元の人たちが喜んでくれることが大切でしたね。お世話になるんだから。阿蘇ロック・フェスティバルは、地元の人たちのチケットはかなり安くなっているんですよ。

―なるほど、そういった意味でも地域に根付いたものになっているのですね。

地元の方向を向いたものにはしたいと思っていましたね。

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